da Vinci Siでロボット支援下内視鏡手術

内視鏡下手術用のロボット「da Vinci」で準広汎子宮全摘出術を受けました

掘られた子宮

note.mu

子宮頸がんワクチンを受けたい人生だった。

子宮頸部異形成から経過観察、治療完了までのコストに対して、ワクチン接種で得られるメリットが非常に大きいと思う。

この件、外野から見ていると、さながら宗教戦争のようで、収束するのは何年も後のように見える。

近い将来、子宮頸がんによる子宮全摘出手術を受ける女性がいなくなってほしいな。

取らないで良かったかもしれない子宮を掘られたい人なんでいないし、掘りたい人もいないんだよ。

2017.11.24 HCU

14時か15時くらいにHCUに寝たまま移動。手術直後の患者が集まる部屋に連れて行かれる。

意識は割としっかりしているものの、常に眠いような感じ。

手術は頭を30度低くした砕石位(さいせきい:  ̄|_|○ ←こういう格好)でおこなわれたため、顔はむくむくに浮腫んで目は思うように開かず、

脳も浮腫んでるようで二日酔いのようなズキズキとした頭痛が続いた。

そんで当たり前だけどお腹いたい。おなかに開けられた5つの穴と、腹部にじんわりとだる重いような痛み。

だけどもそんな言うほど痛くない(どっちやねん)。

痛さがつらいというより、痛みの部位と状態がブラックボックスで、状況に向き合えないのがしんどかった。

看護師さんにお願いして、点滴から定期的に痛み止めを入れてもらう。

それですこし楽になってうたた寝。そうやってつらい感じをやり過ごしていた。

1時間に1度くらい来てくれる看護師さんが、献身的に看護してくださった。白衣の天使とはこの人かと思った。

とても感謝しているのにお伝えする術がないので、近く病院に行ったらご意見箱に投書してこようと思う。

全身に巡った麻酔を早く抜きたくて、真剣に酸素を吸っていた。

短い睡眠を何度も取るうちに22時になり消灯時刻になった。

寝るときに背中にクッションを入れてもらう。姿勢に変化を出しやすくなりとても楽になった。

硬膜外麻酔は入れていない。胴体から出ている管は、直腸と子宮があったところの間(ダグラス窩)にドレーンが1本のみ。

寝返りが打ちやすいのが良かった。

夜中じゅう、まともに眠れないけど看護師さんが構ってくれるので辛くなかった。

回復待ちの寝てるだけの私より、一晩中患者さんの命あずかってる人たちのほうが大変。

なのでできるだけおとなしく過ごしていた。ら朝になった。

2017.11.24 手術

朝6時グリセリン浣腸

お腹にあたたかいゲル的なものが入ってくる不快感…

朝9時前に手術室に出頭

まな板の鯉の気持ちで、点滴をがらがらと引き連れて手術室へ

この日はちょうど、ドラマのコウノドリで小松さんが子宮全摘をする日だった

今日全摘するのは私だけじゃないのね…

全摘が手術どうというより、もう抗えないどうしようもないやられるしかないって気持ちが強く

囚人の気持ち

手術台に乗り、上半身を脱ぎ、心電図とか機械をぺたぺたつけていく

もはやこれまでか

と白目気味につぶやいたら、そんなことないですよー!と助手の先生と看護師さんが励ましてくれた

起きたら背中にテープが貼ってあるけど、無理にはがすと皮膚が剥けるからはがさないでくださいねー

あ、ハイ

起きたら点滴のルートが3つに増えますからねー

あ、ハイ

麻酔入れますからねー、少ししびれますよー

ああーもうだめだーこのあとすぐ暗t

(暗転)

○○さーん!終わりましたよー!!

起きると腕にジャラジャラと点滴が刺さり、顔は目も開けづらいくらいむくんでるのがわかった。

おなかはじわーんと痛い感じ。発狂するような痛みはない。

ほんのり頭痛、ほんのり気持ち悪い。声はがらがら。そんな感じ。

開かない目をうっすら開けると先生方のイキイキした様子が垣間見えた。

おお…いい手術だったんだね… グッジョブだったんやね…

キラキラした方々との温度差を感じつつ、HCUに移送してもらう。

全身麻酔直後の頭の中、BGMはアメイジンググレイス

足には血栓防止のフットポンプが装着され、いよいよ身動きが取れない。

2017.11.23 手術前日

何とも言えない感じのしょんぼり感をまといつつ病院へ。

間も無く病棟内施設の説明を聞くオリエンテーションに参加。

おしゃべりしたい人もいれば、そっとしておいて欲しい人もいるだろう。

できるだけ他の患者さんと目を合わせないようにする。

夕食後、下剤と安定剤を飲む。下剤は錠剤。スポーツドリンクタイプかと思ってた。

もともとお通じは良好なので不快感ナシ。

夜、点滴のルートを取る。就寝。

手術支援ロボット「ダヴィンチ」って何

私の手術は、手術支援ロボット「ダヴィンチ」で執刀していただいた。

da Vinci (医療ロボット) - Wikipedia

medicalnote.jp

www.buzzfeed.com

たまたま手術の3ヶ月くらい前に、ダヴィンチの記事や病院のプレスリリースを見ていた。

医療とAIはよく見かけていたが、医療とVRも今はこんなになってるんだなぁと感心していた。

それで自分が切られるのは予想しなかったが、このときにロボット手術の存在を知ったことで、今回自らロボット手術をお願いすることができた。

私の思うダヴィンチのメリットは、

  • 人が操作する腹腔鏡手術よりも可動域が柔軟

  • 手元が安定している。術中に誤って血管を傷つけてしまい、テンパって震えながらの縫合だったとしても、ロボットを経由した操作なので影響しない。

  • 執刀医が座って作業できるので疲労しにくい

  • 開腹しないので回復が早い。医療ギャグか。

  • 出血が少ない。私のときは150cc。

  • 人のオペレーションミスが最大限防げる(ように思う)。

デメリットは、(ロボットがお高いことは置いておいて)「操作感」が伝わらないこと。

患部がどこまでぶよぶよなのか、どこまでハリがあるのかがわからない。どこまでテンションをかけていいのかわからない。

ここは熟練者の経験値頼みになってしまう点だと思うのでAIがサポートできると良いんでしょうね。

そのあたりの課題を解決するロボットを、東京工業大学発のベンチャー企業が開発しているようです。

jp.techcrunch.com

好奇心を持って気になっているのは、ログをどう生かしていくのかなという点。

ロボット制御なので、動画とアプリケーションログが患者の状態(心拍数/呼吸数/血圧/体温)と関連付いた形で残るはず。

これをAIに学習させたら、執刀をアシストすることができるようになって手術支援ロボットの学習コストは下がり、

多くの患者さんが手軽にロボット手術を受けられるようになるんじゃないかな!と思いました。

余談だけど、退院後に家で静養中、昼に再放送してた「ドクターX」で、手術支援ロボット「コロンブス」っていうのが出てきて笑った。医療ギャグか。